いまだ生を知らず

ふと思いついて小さな手提げかばんを作っていた。
長く使いたい、見た目も良くしたいと思いながら、一針ずつ丁寧に進めていった。
縫い目が見えないようにポケットを縫いつけていたが、途中であまりの煩雑さに投げ出しそうになったその時、ふと気が付く。
自分でやった記憶はなかったものの、どこかで見たことのある縫い目。
それは、母が運動会のためにゼッケンを縫いつけてくれた時のものだった。
たった一日のためだけにこんなに手間をかけて縫ってくれていたのか…!
運動会が終わってその糸を切った時には、そんなことに気付いてもいなかった。

手提げといえば、母は小学校に入学する時にお道具箱が入る大きさのものを作ってくれた。
ミシンは使わず、全て手縫いで。
あの手提げを作るのにどんなに手間がかかったことだろう。

そんなことに思いをめぐらせる前、こんなことを考えていた。
こういうものを仮に誰かのために作るとしたら、その相手がよほど大切な人でなければ途中で作るのをやめるだろうな、と。

気付いた瞬間、涙が止まらなくなった



  1. 2011/09/28(水) 21:41:33|
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